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コラム

遺産分割を弁護士に依頼する費用はいくら?
—相場・内訳・計算例を解説—【弁護士解説】

遺産分割を弁護士に依頼した場合の費用は、「着手金」と「報酬金」が基本です。相場としては、着手金20〜35万円程度・報酬金は取得額の10〜18%が大手事務所の水準です。当事務所では着手金22万円〜(税込)・報酬金15%(税込)という料金体系を採用しています。この記事では、費用の内訳・具体的な計算例・費用が増えるケース・法テラスの活用法まで、弁護士が正直に解説します。
この記事のポイント
  • 遺産分割の弁護士費用は「着手金(依頼時)+報酬金(解決時)+実費」の構成が基本
  • 当事務所の料金:着手金22万円〜(税込)・報酬金は取得した経済的利益の15%(税込)
  • 経済的利益とは、依頼者が実際に取得した財産の評価額を指す
  • 協議から調停・審判に移行しても、追加着手金は原則かからない(当事務所)
  • 費用が払えない場合は法テラスの立替制度(審査あり)を活用できる場合がある

遺産分割の弁護士費用——何にお金がかかるか

弁護士費用は、大きく「専門家への報酬」と「実費」に分かれます。また報酬は依頼時に支払う「着手金」と、解決後に支払う「報酬金」の2段階になっているのが一般的です。

費用の種類と概要
相談料
初回相談は無料(当事務所)。一般的には30分5,000〜10,000円が相場ですが、初回無料の事務所が増えています。
着手金
依頼時に支払う費用。事件が成功しなくても原則返還されません。遺産分割の複雑さ・相続人の数・遺産総額によって変動します。
報酬金
協議・調停・審判が解決した時点で支払う成功報酬。依頼者が取得した財産額(経済的利益)に一定割合をかけて計算します。
実費
戸籍謄本・登記事項証明書の取得費、郵便費用、調停申立ての収入印紙(1,200円〜)など。案件によって異なりますが、数万円以内が多いです。
日当
裁判所(家庭裁判所)への出廷が必要な場合、事務所から裁判所までの距離・時間によって発生することがあります。当事務所は通常の東京近郊案件では日当不要です。

当事務所の料金——協議から審判まで

遺産分割の弁護士費用を考えるうえで前提となるのが、遺産分割手続きの全体像です。家庭裁判所実務の基本書である片岡武・管野眞一『第4版 家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務』(日本加除出版、2021年)p.38 では、遺産分割は協議→調停→審判という3段階の構造を持つと整理されています。なお、遺産分割は家事事件手続法別表第二の事件であり、調停前置主義(同法第257条)の対象ではありません。当事者は、協議がまとまらない段階で調停・審判のいずれを申し立てるかを選択できますが、実務上はまず調停が選ばれる例が多く、不成立となった場合に審判へ移行します。当事務所の料金体系は、この「協議〜審判」のすべての段階を含めて着手金が固定となる点に特徴があります。

遺産分割(当事務所の着手金)
22万円〜(税込)
協議・調停・審判を問わず、着手金は同額
・報酬金:依頼者が取得した経済的利益の15%(税込)
・調停・審判に移行しても追加着手金は原則かかりません
・相続人の人数が多い・財産の評価が複雑な場合は別途お見積り
・実費(戸籍取得費・収入印紙等)は別途
・初回相談は無料です

経済的利益とは何か

報酬金の計算基準となる経済的利益とは、依頼者が実際に取得した財産の評価額です。不動産は時価(または固定資産評価額)、預貯金は残高、株式は時価で計算します。

例:遺産総額3,000万円の相続で、法定相続分(1/2)は1,500万円。協議・調停の結果、実際に1,800万円を取得した場合の経済的利益は1,800万円となり、報酬金は 1,800万円 × 15%(税込)= 270万円 です。

弁護士 加山綾一のコメント

報酬金の計算方式は事務所によって異なります。「取得額全体に割合をかける方式」と「法定相続分を超えた部分にのみ割合をかける方式」があり、どちらが有利かは案件による。当事務所は「取得額全体」を基準としていますが、初回相談でケースに応じた具体的な試算をお伝えしています。

費用の計算例——3つのケース

ここでは当事務所の料金体系をもとに、遺産規模別の費用目安を示します。いずれも「協議が成立した場合」の例です。

項目 ケースA
遺産1,000万円
ケースB
遺産3,000万円
ケースC
遺産6,000万円
相続人の人数 2名 3名 3名
依頼者の取得額(目安) 500万円 1,200万円 2,500万円
着手金(税込) 22万円 22万円 22万円
報酬金(取得額×15%・税込) 75万円 180万円 375万円
合計(税込・実費除く) 97万円 202万円 397万円

※上記は目安です。相続人の人数・財産の複雑さによって異なります。正確な費用は初回相談でお伝えします。

他事務所との比較——費用の見方

弁護士費用は事務所ごとに異なります。複数の事務所に相談して比較することは合理的な判断です。比較する際に見るべきポイントを整理します。

事務所の類型 着手金の目安 報酬金の目安 特徴
当事務所 22万円〜(税込)固定 取得額の15%(税込) 調停・審判移行で追加着手金なし。初回相談無料
大手相続専門(A社) 34万円〜(税込)固定
+事務手数料6.6万円別途
取得額の17.6%(税込)
(2,000万円未満)
体制が大きく広告展開が強い。費用は高め
固定額シンプル型(B社) 22万円(税別)固定 取得額の5〜10%(税別)
(手続き種別による)
報酬率が低め。調停・審判で段階的に上昇
旧日弁連基準 経済的利益の5%+9万円
(300万超3,000万以下)
経済的利益の10%+18万円
(同上)
かつての標準的な目安。現在は各事務所が独自設定

比較のポイント:着手金だけでなく「調停・審判に移行したときの追加費用」「事務手数料の有無」「報酬金の計算基準(取得額全体か・超過分のみか)」まで確認してください。複数事務所に相談した上で、費用だけでなく担当弁護士との相性も判断材料にしてください。

費用が増えるケース

「22万円〜」の「〜」の部分、つまりどういうケースで費用が増えるかを解説します。

① 相続人の人数が多い

相続人が5名を超えると、協議・調停のやり取りが複雑になります。相手方全員との交渉・期日調整・書面作成の量が増えるため、着手金が増額となる場合があります。

② 財産の評価が複雑

非公開株(非上場株式)・事業用資産・借地権が絡む不動産・海外資産などは、評価額の算定に専門家(不動産鑑定士・税理士等)への依頼が必要になることがあります。その費用は実費として別途かかります。

③ 特別受益・寄与分の主張がある

生前贈与の持ち戻し(特別受益)や介護への貢献(寄与分)の主張がある場合、証拠収集・計算・主張整理に追加の作業が発生します。

④ 調停・審判に移行する場合

当事務所では調停・審判に移行しても追加着手金は原則かかりません。ただし、審判まで長期化した場合(2年超など)は報酬金の計算時に別途ご相談することがあります。

費用が払えない場合——法テラスの活用

弁護士費用の支払いが難しい場合、法テラス(日本司法支援センター)の審査付き立替制度を利用できる場合があります。

  • 対象:収入・資産が一定基準以下の方(審査あり)
  • 内容:弁護士費用を法テラスが立替え、後から分割で返済する仕組み
  • 当事務所への相談:法テラスの審査を前提とした相談も受け付けています。まず状況をお聞かせください
法テラスを使う場合の注意点

法テラスの立替制度には収入・資産の審査があり、すべての方が対象になるわけではありません。また、依頼できる弁護士は法テラスと契約している事務所に限られます。詳しくは法テラスのウェブサイト(https://www.houterasu.or.jp/)または当事務所にお問い合わせください。

よくある質問

着手金は依頼時(委任契約締結後)にお支払いいただきます。報酬金は事件が解決した時点(協議書の成立・調停成立・審判確定など)でお支払いいただきます。実費は発生の都度または精算時にお支払いただくことが多いです。
当事務所では、協議から調停・審判に移行しても追加着手金は原則かかりません。ただし、審判まで長期化した場合(目安として解決まで2年を超える見通しになった場合)は、途中でご相談させていただくことがあります。最初の委任時に「どこまでの費用か」を明確にお伝えしますので、ご不安な点はご遠慮なくお聞きください。
弁護士費用は「取得した経済的利益」に対して計算されるため、取得額が少なければ報酬金も少なくなります。ただし、着手金は解決の結果にかかわらず原則返還されません。初回相談で遺産の概算規模・争点・見込みをお伺いした上で、「費用対効果」の観点からの見通しをお伝えするようにしています。
遺産分割においては、弁護士費用を相手方に請求する(「訴訟費用として相手に負担させる」)ことは原則できません。弁護士費用は依頼者自身が負担するものです。ただし、遺産から費用を精算するなどの方法については、協議の中で条件として盛り込む場合もあります。
はい、「まだ依頼するか決めていない」「費用の見通しだけ聞きたい」という段階でのご相談も歓迎しています。初回相談は無料です。現状をお聞きした上で、費用の試算・手続きの見通し・依頼するかどうかの判断材料をお伝えします。

費用のご相談・見積もりはお気軽に

「費用がどれくらいかかるか知りたい」「依頼するか迷っている」——どの段階でもご相談ください。初回相談(無料)でお聞きした内容をもとに、具体的な費用の試算と手続きの流れをお伝えします。

参考文献・参考URL

  • 片岡武・管野眞一『第4版 家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務』(日本加除出版、2021年)p.38
  • 家事事件手続法第244条・別表第二(家庭裁判所が扱う家事審判事件)
  • 日本弁護士連合会「弁護士費用の基準廃止について」(2004年)
  • 法テラス「審査のある立替制度(民事法律扶助)」https://www.houterasu.or.jp/
加山綾一 弁護士(東京弁護士会)
加山綾一(弁護士)
東京弁護士会所属(登録番号39453)。複数社の顧問、社外役員等を務める傍ら、弁護士主導の相続サポートプラットフォームを運営。相続紛争・遺産分割の実務に携わる。
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