遺産分割を弁護士に依頼する費用はいくら?
—相場・内訳・計算例を解説—【弁護士解説】
- 遺産分割の弁護士費用は「着手金(依頼時)+報酬金(解決時)+実費」の構成が基本
- 当事務所の料金:着手金22万円〜(税込)・報酬金は取得した経済的利益の15%(税込)
- 経済的利益とは、依頼者が実際に取得した財産の評価額を指す
- 協議から調停・審判に移行しても、追加着手金は原則かからない(当事務所)
- 費用が払えない場合は法テラスの立替制度(審査あり)を活用できる場合がある
遺産分割の弁護士費用——何にお金がかかるか
弁護士費用は、大きく「専門家への報酬」と「実費」に分かれます。また報酬は依頼時に支払う「着手金」と、解決後に支払う「報酬金」の2段階になっているのが一般的です。
当事務所の料金——協議から審判まで
遺産分割の弁護士費用を考えるうえで前提となるのが、遺産分割手続きの全体像です。家庭裁判所実務の基本書である片岡武・管野眞一『第4版 家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務』(日本加除出版、2021年)p.38 では、遺産分割は協議→調停→審判という3段階の構造を持つと整理されています。なお、遺産分割は家事事件手続法別表第二の事件であり、調停前置主義(同法第257条)の対象ではありません。当事者は、協議がまとまらない段階で調停・審判のいずれを申し立てるかを選択できますが、実務上はまず調停が選ばれる例が多く、不成立となった場合に審判へ移行します。当事務所の料金体系は、この「協議〜審判」のすべての段階を含めて着手金が固定となる点に特徴があります。
・調停・審判に移行しても追加着手金は原則かかりません
・相続人の人数が多い・財産の評価が複雑な場合は別途お見積り
・実費(戸籍取得費・収入印紙等)は別途
・初回相談は無料です
経済的利益とは何か
報酬金の計算基準となる経済的利益とは、依頼者が実際に取得した財産の評価額です。不動産は時価(または固定資産評価額)、預貯金は残高、株式は時価で計算します。
例:遺産総額3,000万円の相続で、法定相続分(1/2)は1,500万円。協議・調停の結果、実際に1,800万円を取得した場合の経済的利益は1,800万円となり、報酬金は 1,800万円 × 15%(税込)= 270万円 です。
費用の計算例——3つのケース
ここでは当事務所の料金体系をもとに、遺産規模別の費用目安を示します。いずれも「協議が成立した場合」の例です。
| 項目 | ケースA 遺産1,000万円 |
ケースB 遺産3,000万円 |
ケースC 遺産6,000万円 |
|---|---|---|---|
| 相続人の人数 | 2名 | 3名 | 3名 |
| 依頼者の取得額(目安) | 500万円 | 1,200万円 | 2,500万円 |
| 着手金(税込) | 22万円 | 22万円 | 22万円 |
| 報酬金(取得額×15%・税込) | 75万円 | 180万円 | 375万円 |
| 合計(税込・実費除く) | 97万円 | 202万円 | 397万円 |
※上記は目安です。相続人の人数・財産の複雑さによって異なります。正確な費用は初回相談でお伝えします。
他事務所との比較——費用の見方
弁護士費用は事務所ごとに異なります。複数の事務所に相談して比較することは合理的な判断です。比較する際に見るべきポイントを整理します。
| 事務所の類型 | 着手金の目安 | 報酬金の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 当事務所 | 22万円〜(税込)固定 | 取得額の15%(税込) | 調停・審判移行で追加着手金なし。初回相談無料 |
| 大手相続専門(A社) | 34万円〜(税込)固定 +事務手数料6.6万円別途 |
取得額の17.6%(税込) (2,000万円未満) |
体制が大きく広告展開が強い。費用は高め |
| 固定額シンプル型(B社) | 22万円(税別)固定 | 取得額の5〜10%(税別) (手続き種別による) |
報酬率が低め。調停・審判で段階的に上昇 |
| 旧日弁連基準 | 経済的利益の5%+9万円 (300万超3,000万以下) |
経済的利益の10%+18万円 (同上) |
かつての標準的な目安。現在は各事務所が独自設定 |
比較のポイント:着手金だけでなく「調停・審判に移行したときの追加費用」「事務手数料の有無」「報酬金の計算基準(取得額全体か・超過分のみか)」まで確認してください。複数事務所に相談した上で、費用だけでなく担当弁護士との相性も判断材料にしてください。
費用が増えるケース
「22万円〜」の「〜」の部分、つまりどういうケースで費用が増えるかを解説します。
① 相続人の人数が多い
相続人が5名を超えると、協議・調停のやり取りが複雑になります。相手方全員との交渉・期日調整・書面作成の量が増えるため、着手金が増額となる場合があります。
② 財産の評価が複雑
非公開株(非上場株式)・事業用資産・借地権が絡む不動産・海外資産などは、評価額の算定に専門家(不動産鑑定士・税理士等)への依頼が必要になることがあります。その費用は実費として別途かかります。
③ 特別受益・寄与分の主張がある
生前贈与の持ち戻し(特別受益)や介護への貢献(寄与分)の主張がある場合、証拠収集・計算・主張整理に追加の作業が発生します。
④ 調停・審判に移行する場合
当事務所では調停・審判に移行しても追加着手金は原則かかりません。ただし、審判まで長期化した場合(2年超など)は報酬金の計算時に別途ご相談することがあります。
費用が払えない場合——法テラスの活用
弁護士費用の支払いが難しい場合、法テラス(日本司法支援センター)の審査付き立替制度を利用できる場合があります。
- 対象:収入・資産が一定基準以下の方(審査あり)
- 内容:弁護士費用を法テラスが立替え、後から分割で返済する仕組み
- 当事務所への相談:法テラスの審査を前提とした相談も受け付けています。まず状況をお聞かせください
法テラスの立替制度には収入・資産の審査があり、すべての方が対象になるわけではありません。また、依頼できる弁護士は法テラスと契約している事務所に限られます。詳しくは法テラスのウェブサイト(https://www.houterasu.or.jp/)または当事務所にお問い合わせください。
よくある質問
費用のご相談・見積もりはお気軽に
「費用がどれくらいかかるか知りたい」「依頼するか迷っている」——どの段階でもご相談ください。初回相談(無料)でお聞きした内容をもとに、具体的な費用の試算と手続きの流れをお伝えします。
参考文献・参考URL
- 片岡武・管野眞一『第4版 家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務』(日本加除出版、2021年)p.38
- 家事事件手続法第244条・別表第二(家庭裁判所が扱う家事審判事件)
- 日本弁護士連合会「弁護士費用の基準廃止について」(2004年)
- 法テラス「審査のある立替制度(民事法律扶助)」https://www.houterasu.or.jp/
報酬金の計算方式は事務所によって異なります。「取得額全体に割合をかける方式」と「法定相続分を超えた部分にのみ割合をかける方式」があり、どちらが有利かは案件による。当事務所は「取得額全体」を基準としていますが、初回相談でケースに応じた具体的な試算をお伝えしています。